こちらでは、RetroRGBで紹介された記事をご紹介したいと思います。 レトロゲーム関連でちょくちょく目にするのが、「240p」というキーワードです。これは、プログレッシッブスキャン方式または、ノンイタンーレススキャン方式、順次操作方式とも呼ばれることもありますが、これは約320×240の解像度をのことを表しています。
最初に出てくる「240」という数字はそのフォーマットの垂直解像度を表しています。それに続く「p」または「i」という文字は、プログレッシブスキャンとインターレースのことを指しています。
たとえば、480iの場合は640×480または720×480のように、480本の垂直ラインを持つ信号をインターレースしたものを表しています。
インターレースでは、奇数ラインと偶数ラインの2回に分けて描画を行いますが、プログレッシブスキャンは1回ですべてのラインを表示します。結果的に、インターレースでは、その解像度に関係なく画像がぼやけて見えたりブレて見えることがあるのです。
各ケーブルとの関係
コンポジットやS端子、RGBは、240pと480iの両方の信号を伝送することができます。コンポーネント映像端子とゲームキューブで使われるD端子は、480pで転送することができます。
レトロゲームにおいて「240p」が重要な理由は?
レトロゲームにおいて、なぜ「240p」が重要になるのでしょうか? その理由は、プログレッシブスキャンであるからです。たとえば、480iまたは240pのいずれかの映像を選択できるときに、多くの場合240pのほうがよく見えます。たとえ解像度が低くとも、プログレッシブスキャンならば映像のチラ付きがなく、シャープに見えます。
ドリームキャストやゲームキューブ、ゲームボーイアドバンス、PlayStation2、Wiiなどの第6世代の家庭用ゲーム機では、480iでしか映像出力ができないゲームに出会うことがあります。これら第6世代の家庭用ゲーム機は、480pで映像出力ができますが、ネイティブの240pでの映像出力はできません。
240p出力のレトロゲーム機を最新のディスプレイ向けにアップスケーリング
解像度とは、画面上に表示されるピクセルの数を表しています。一般的なフルHDの場合は、1920×1080ピクセルとなり、合計2万73600ピクセル(約2万ピクセル)という意味になります。
一方、240pのゲームは320×240のバリエーションで映像が出力されます(ファミコンは256×224、メガドライブは320×224など違いがあり)。これらは、アップスケールされることで、最新のディスプレイに合わせてピクセル数が倍数化されます。
また、最近のディスプレイは以前の4:3ではなく16:9になっているため、水平方向に引き延ばされたり、アスペクト比を維持するために黒い画面を追加して4:3に見えるようにすることができます。
240pを480pや720p、4Kにアップスケーリングするときはあまり問題になりませんが、実は一般的なフルHDディスプレイで表示される1080pへのアップスケーリングでは少々問題があります。それは下記のような理由からです。
480p = 240p x2 – 480p:640×480の垂直解像度に完璧なスケール
720p = 240p x3 – 720p:960×720の垂直解像度に完璧なスケール
4k = 240 x 9 – 4k:2880×2160の垂直解像度に完璧なスケール
240pは1080に均等に乗算しないため、それを実現するためにいったん240p x4 = 960を間に介して1080pに出力しています。最近のディスプレイは、元の画像を4倍に拡大縮小して、画面上部と下部を埋めるために画像をストレッチしているのです。
こうした方法は、ほとんどの場合画質が悪くなってしまいます。ビデオプロセッサーによっては4倍に拡大した画像の上部と下部に黒いバーを追加で表示することで、完璧なアスペクト比と高品質の画像が表示できるものもあります。
また、一部のビデオプロセッサーは、240p x5 = 1200というように、画像を5倍に引き伸ばして上下の一部を切り取って表示ができます。こちらはいい結果になる場合が多いです。
家庭用ゲーム機の解像度
第3世代
ファミコン
解像度:256×240ピクセル(表示領域は上下8ピクセル狭い256×224ピクセル)
セガマスターシステム
解像度:256×192ピクセルまたは256×224ピクセル
第4世代
スーパーファミコン
解像度:
ノンインターレース(240p)256×224ピクセル、512×224ピクセル、256×239ピクセル、512×239
インターレース(480i)512×448ピクセル、512×478ピクセル
PCエンジン
解像度:256×240ピクセル(表示領域は256×224ピクセル)、320×240(N/A)ピクセル、336×240ピクセル、512×240ピクセル
メガドライブ
320×224ピクセル
第5世代
NINTENDO64
解像度:256×224ピクセル、640×480ピクセル
セガサターン
解像度:
ノンインターレース(240p)320×224ピクセル
インターレース(480i)704×480ピクセル
PlayStation
解像度:
ノンインターレース(240p)256×224ピクセル
インターレース(480i)640×480ピクセル
240p test suite
レトロゲームを最適に楽しむためのテストツール『240p test suite』と呼ばれるオープンソースのソフトウェアがインターネット上で公開されています。現在対応しているプラットフォームは、メガドライブ(ジェネシス)、メガCD、ドリームキャスト、PCエンジン(Turbografx-16)、スーパーファミコン(SNES)、ファミコン(NES)、ゲームボーイ、ゲームボーイアドバンス、PlayStation、Wii、ゲームキューブです。
これらは、エバードライブのようなゲームのROMが読み込めるカートリッジを使用したり、CD-Rなどにソフトウェアを焼き付けたりして利用することができます。
ソフトの配布場所
■ファミコン(NES)
ダウンロード
■スーパーファミコン(SNES)
Sourceforgeからダウンロード
カートリッジバージョンは20ドルで販売
■ゲームキューブ
Sourceforgeからダウンロード
■Wii
Sourceforgeからダウンロード
■マスターシステム
ダウンロード
■メガドライブ(ジェネシス)
Sourceforgeからダウンロード
■メガCD
Sourceforgeからダウンロード
■ドリームキャスト
Sourceforgeからダウンロード
■PCエンジン(Turbografx-16)
Sourceforgeからダウンロード
■CD-ROM2/スーパーCD-ROM2
Sourceforgeからダウンロード
■PlayStation
GitHubのソースコード
■Neo Geo MVS / AESおよびCD
ダウンロード
テストパターンとインタラクティブテスト
こちらでは、『240p test suite』でできるテストパターンとインタラクティブテストの内容についてご紹介していきます。ソフトを起動すると、ずらりと並んだメニューが表示されます。
テストパターン
「テストパターン」では、カラバーや赤色のレベルを調整するためのパターンを表示することができます。これらの映像を見ながら、実際に映し出すディスプレイを調整していきます。
グリッドパターン
「グリッドパターン」では、赤い枠の内側が、実際にゲームが表示されるエリアを表しています。こちらでブラウン管の特性をチェックできます。しかし、液晶ディスプレイではすべて表示されます。
直線性
「直線性」のテストでは、中央に大きなサークルを含む、5つの円が表示されます。こちらは、ディスプレイの線形性をチェックするためのものです。こちらは、意図した映像が表示されているかチェックするためのものです。ジオメントリが対象になっていない場合、画像が歪んで見えてしまうことがあります。
ドロップシャドウテスト
レトロゲームでは、敵に襲われたときなどに自分のキャラクターが素早く点滅して無敵状態になっていることを表しているものがあります。はたして、それを最近のディスプレイは正しく表示できているでしょうか? それをテストするのが「ドロップシャドウテスト」という項目です。
多くのディスプレイが正しくスケーリングされない状態で、ゲームの映像を表示しています。まるで480iであるかのように、240pのゲームの映像を表示してしまいます。このテストでは、ディスプレイがどのように240pの映像を処理するかテストすることができます。
星形のスプライトが点滅し、画面上に1フレームごとに透明に見えるように表示します。240pを処理できないディスプレイでは、通常の480iの信号のときのように、奇数フレームと偶数フレームでインターレースされていることがわかります。
ラグテスト
ブラウン管ディスプレイと比較して、液晶ディスプレイのラグがどれぐらいあるのかチェックするときに便利なツールが「ラグテスト」です。テストを開始すると、タイムコード番号が画面に表示されます。
ビデオ信号をふたつに分割出来る場合は、ブラウン管と液晶ディスプレイの両方に映像を表示させ、それを別のビデオカメラで撮影することでラグのチェックができます。
手動ラグテスト
こちらは1台のディスプレイで出来るラグテストですが、動いている画像パターンが重なり合ったときにAボタンを押すことでビープ音が鳴りどれぐらいラグがあるか表示されます。これを10回繰り返すことでチェックを行えます。
ただし、あくまでも手動のテストであるため、タイミングよく押せないとあまり意味がないかもしれません。Bボタンを押すことで、移動方向を垂直と水平の切り替えが行えます。
ここで紹介したもの以外にも、 『240p test suite』 には様々なテスト項目などが用意されているので、探究心の強いレトロゲーマーたちの見方になってくれるはずです。