2Chipのスーパーファミコンを1Chip並みの高画質にするMOD「SNES Edge-Enhancer」と「2CHIP RGB Bypass」

2Chipのスーパーファミコンを1Chip並みの高画質にするMOD「SNES Edge-Enhancer」と「2CHIP RGB Bypass」

My Life in Gamingが、スーパーファミコンの改造に関する興味深い動画を公開していました。こちらはVoultar氏が取り組んでいるという、スーパーファミコンの映像に関する大きな課題であるぼやけた映像に関する改造です。

●Voultar氏のサイト
https://voultar.com/

スーパーファミコン ジュニアを除くすべてのスーパーファミコンは、15KHzのRGBビデオ出力をネイティブな状態でサポートしています。これは、同じくRGBの出力が可能なメガドライブやPlayStationと比較しても、どちらかというと柔らかな印象の映像となっています。その原因となっているのが、2番目のPPUです。

スーパーファミコンにはふたつのPPUが搭載されていますが、この2番目のPPUはアナログ信号を生成するときにカラーからカラーにすぐに移行することができず、映像を左から右に描画するときに縞模様が発生してしまいます。

しかし、正確な日付は不明なものの、任天堂は1995年のとある時期時にCPUとふたつのPPUをS-CPUNと呼ばれるひとつのチップに統合し、その後1Chipと呼ばれるようになったスーパーファミコンをリリースしています。これは単にコストカットが目的であったと思われますが、結果的に以前のモデルと比較して映像が鮮明になり、多くのレトロゲーマーから支持を受けることになります。

1Chipスーパーファミコンのところは、映像が鮮明に見えるところですが、この明るく見える映像は実際にはゲインが上がりすぎており、場所によっては白飛びを起こしてしまいます。また、右方向に向かってゴーストが発生するという不具合もあります。

このゴーストは、マーザーボード上にあるC11とマークされたコンデンサーを高品質なものに交換することでのみ修正が可能です。

▲画質を補正してみると、1Chipにゴーストが発生していることがわかります。

また、カプコンのゲームでよく発生する画面上部のノイズや、スーパータリカンでクラッシュしてしまうなど、いくつかの問題もあります。とはいえ、多くのゲームではそれほど気にするレベルではありません。後期に発売されたスーパーファミコン ジュニアも1Chipですが、こちらは残念ながらRGB出力はカットされています。

1Chipより以前のすべてのモデルに対応したMODの「SNES Edge-Enhancer」+「2CHIP RGB Bypass」

つまりこれらの情報を合わせると、何かしらの修正をハードウェアに施すことなく理想的なRGBの映像を出力できるオリジナルのハードはないということにもなる。その問題を解決しようとしているのが、Voultar氏が取り組んでいる「SNES Edge-Enhancer」と「2CHIP RGB Bypass」を組み合わせた改造です。

用語の誤解を与えないように整理しておくと、1Chipは実際には3つのチップ(CPUとふたつのPPU)をひとつにまとめているため、2Chipや3Chipといった異なる呼ばれ方をする場合がありますが、基本的には同じ物のことをさしています。

「SNES Edge-Enhancer」と「2CHIP RGB Bypass」のうち、前者は2番目のPPUをターボチャージするためのものです。色の移行が高速化され右方向にできる縞が解消されます。しかし、このままではうまく機能せず、「2CHIP RGB Bypass」Modを施さないと、やっかいな部分が逆に強調されてしまいます。そのため、このふたつは同時に行う必要があります。

この「SNES Edge-Enhancer」と「2CHIP RGB Bypass」は、Voultar氏自身が行うインストールサービスとして1月下旬か2月上旬に発表される予定とのこと。さらなる情報については、RetroRGBで発表されるようです。

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高島おしゃむ
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。