高性能なFPGAを搭載することで、ゲームボーイやゲームボーイカラー、ゲームボーイアドバンスなどのレトロなゲーム機のカセットをさして遊ぶことができる携帯ゲーム機『Analogue Pocket』。別売りのアダプターを利用することで、ゲームギアやPCエンジンなども遊ぶことはできますが、それらを使わなくても簡単にこうしたゲームを遊ぶ方法が本機には用意されています。

それが「openPFGA」と呼ばれるものです。今回は、あえて初心者向け企画として、この『Analogue Pocket』でPCエンジンのゲームが遊べる環境を作る方法をご紹介していきます!
改造ではない! 公式に用意されたプラットフォームの「openPFGA」
『Analogue Pocket』でPCエンジンを遊べるようにするって、よくあるCFW(カスタムファームウェア)みたいなものを無理矢理入れて改造するやつでしょ? と思われがちですが、そうではありません。Analogue社では、『Analogue Pocket』にopenFPGAという開発環境を用意しており、誰でもコアを開発することで、FPGAを利用した新たなゲーム機に対応できるようにしているのです。
この「openPFGA」は、そうしたコアを遊べるようにするためのプラットフォームです。すでに多くの開発者がコアを公開しており、それらを利用することで、誰でも新たなレトロゲームを『Analogue Pocket』で遊べるようにする環境を作ることができるのです。

「openFPGA」を利用するには、『Analogue Pocket』本体のファームウェアを最新にしておく必要があります。ツールによってはファームウェアもアップデートできますが、下記で紹介するツールでは対応していないようなにで、自分で下記から入手してmicroSDカードのルートにコピーして、アップデートをしておきましょう。
●Analogue Pocketの最新ファームウェアの入手先
https://www.analogue.co/support/pocket/firmware
各コアの入手に便利なアップデートツール
具体的にどうするの? という話ですが、以前は手動でファイルを落としてセットアップをしていたものの、最近は半自動でセットアップできるツールがいくつか登場しています。それらのツールでは、最新版のコアを自動で落としてきて必要な場所にセットアップしてくれるほか、『Analogue Pocket』本体のファームウェアも落としてきてくれるものもあります。
まずは『Analogue Pocket』の本体以外にmicroSDカードとPCやマックなどのパソコンを用意する必要があります。microSDカードは、「FAT32」または「ExFat」でフォーマットしておきましょう。
ちなみに、以前はウィンドウズに対応したツールしかありませんでしたが、現在はマックやLinuxに対応したモノも登場しています。今回は3機種に対応した『Pocket Sync』を例にご紹介してきます。また、ついでに一括でコアをセットアップしてくれるウィンドウズ用のツール(Pocket Updater Windows)もリンクだけご紹介しておきます。
ほかのツールは、一発で全部のコアをダウンロードするといったものが多いですが、今回ご紹介する『Pocket Sync』は、自分でインストールしたいコアをひとつずつ選んでいくタイプのツールになっています。これは作者のこだわりでそうなっているとのこと。
●Pocket Updater Windows(Win)
https://github.com/RetroDriven/Pocket_Updater
Pocket Syncのセットアップ
●Pocket Syncの入手先(Win/Mac/Linux)
https://github.com/neil-morrison44/pocket-sync

上記にアクセスして、最新版のページに移動します。ウィンドウズ版は、.msiのファイルを落としましょう。

ファイルをダウンロードしたら、クリックしてインストーラーを起動しましょう。まずは、「Next」を押します。

インストール先を変更する場合以外は、そのまま「Next」を選んでOKです。

「Install」を選ぶと、インストールが開始されます。

途中アナウンスが表示されることがありますが、そのままインストールを進めていきましょう。インストールが終わったら「Finish」をクリックして完了です。

Pocket Syncの使い方
microSDカードをPCに接続して、「FAT32」または「ExFat」でフォーマットします(※新規のインストールで、この時点でまだフォーマットされていない場合のみ。追加やアップデート時は不要)。『Pocket Sync』を起動すると、下記のような画面が表示されるので、「Connet to Pocket」と書かれた部分をクリックしましょう。

続いて、先ほどPCに接続しておいたmicroSDカードの場所を指定します。準備が整うと、下記のような画面が表示されます。このツールでは、コアのアップデートのほか、「openFPGA」で表示する画像の変更、スクリーンショットやセーブデータ、セーブステートなども管理することができます。

今回はPCエンジンのコアを入手するので、「Cores」を選びましょう。リストの中から「PC Engine」を探します。ちなみに、すでにmicroSDカードにセットアップが行われており、更新されているコアがある場合は、緑色で最新バージョンを教えてくれます。

上記の画像ではインストール済み(Installed)のコアが表示されていますが、未インストールのコアはAvailableに分類されています。今回はインストールを試すために、いったんPCエンジンのコアをアンインストールしてみました。

インストールしたいコアを選択してページを移動します。右上に「Install」のボタンがあるので、そちらをクリックすると、コアがインストールされます。

インストールが終わったら、下記の画面が表示されます。「Confirm」を押すとコアのセットアップは完了です。

ここまでやればだいたい察しが付くと思いますが、基本的に他のコアをインストールするときもここまではまったく同じ作業になります(笑)。
ゲームのROMを用意
もちろん、PCエンジンのコアをセットアップするだけではゲームを遊ぶことはできません。実際に遊びたいゲームソフトのROMを用意する必要があります。コアのセットアップとは話が少しずれますが、今回はカートリッジリーダーを利用してゲームを吸い出しました。
他にもいろいろとゲームのROMを吸い出す方法はあるので、興味がある人は調べてみてください。
ゲームのROMデータをmicroSDカードにコピー
ゲームのROMデータは、microSDカードの「Assets/pce/common」のフォルダーにコピーします。Assetsとcommonの真ん中にある文字が、コアごとに異なるフォルダ名になっているといえばわかりやすいでしょか?
たとえは、筆者の環境ではmicroSDカードをさしたドライブはG:\になるため、下記のような場所になります。

ROMのコピーが終わったら、microSDカードをPCから抜いて、『Analogue Pocket』に差し込みます。
PCエンジンコアの起動
『Analogue Pocket』を起動して、メニューから「openFPGA」を選びます。

複数コアがインストールされている場合は、それらがリストで表示されるので、「PC Engine」を探しましょう。見つけたらそちらを選択します。

コアを呼び出して「Run」を選ぶとPCエンジンのコアが起動します。

インストールされているROMのリストが表示されるので、遊びたいゲームを選択すればゲームが起動します。

これらの画面はドックで撮影したものですが、無事PCエンジンコアで『R-Type I』を起動することができました。

Analogue Pocketのコアは常に進化している
『Analogue Pocket』のコアは常に進化を遂げており、バグの修正だけではなく新たな機能に対応することもたびたびあります。PCエンジンの場合はCD-ROM2への対応が期待されているところですが、こちらは将来的にサポートされる予定です。
『Analogue Pocket』のPCエンジンコアを開発しているのはAdam Gastineau氏ですが、彼のツイッターをフォローしておき、最新情報をチェックしておくことをオススメします!
●Adam Gastineau氏のツイッターアカウント
https://twitter.com/iam_agg