※こちらはゲーム発売当時に雑紙に掲載された記事を載せています。
シリーズ最新作の日本語版ついに登場
キングスクエストシリーズといえば、パソコンがようやくよちよち歩きを始めた1984年にシリーズ第1作目が登場した歴史あるRPGである。この頃のパソコンゲームには、プレーヤーが任意の言葉を入力してゲームを操作するといったインターフェイスをとっていたものが多かった。
たとえばドアをひとつ開けるのにも、当時のゲームならば「ドア アケル」というように、半角カタカナなどの文字を入力してストーリーを進めていたのである。シリーズ第1作目となる「King’s QuestⅠ:Quest For The Crown」にも、そのようなシステムが取り入れられていた。現在のゲームでは、インターフェイスは極力簡略化され、文字入力を要求されるのはせいぜいプレーヤー名を決めるときぐらいだろう。やや煩わしいとも思えるゲームシステムだが、ゲーム作者とプレーヤーとの言葉の駆け引きのようなものが感じられ、当時はなかなか面白かったのである。
月日は流れ、あれから15年。シリーズ8作目となる「キングスクエスト マスク オブ エターニティー」が登場した。OSも当時のBASICからWindows98へと変わり、ゲームもドット絵から3Dグラフィックへと大きく進化を遂げていた。
邪悪の原因を追及すべく旅立つ主人公
物語はタベントリーという、町からスタートする。平和で静かなこの町に、ある日突然、突風ともにやってきた得体の知れない闇の力によって、人々が石化されてしまったのである。偶然ながら主人公のコナーだけは、空から降ってきた金色の破片を手にしたおかげでこの恐怖から逃れることができたのであった。石化された町を見た主人公は、この不気味な現象の謎を解決すべく旅立つのである。
プレーヤーはまず、この変わり果てた町の探索から始めていく。自分の目の前で石化されてしまった美しいサラや、そのおばさんなど、ひとりひとりに話しかけるのだ。彼らの家の中からは、体力を回復してくれるキノコなどの食料や、わずかながらのお金を入集することができる。勇者がそんな泥棒まがいのことができるか、と思う事なかれ。すべてはこの町に平和を取り戻すための一時的な手段だと思えばいいのだ。
町の至る所にはモンスターが点在しており、プレーヤーに襲いかかってくる。敵を倒していくことにより、プレーヤーのレベルも上がっていく。墓場など、最低でもレベル5以上はないと近づけない危険な場所も存在する。死んでしまっては元も子もないので、焦らずゆっくりとキャラクターを育て上げてから、挑むのがいいだろう。ちなみに、これらのモンスターの中にはアイテムを持ってるものもいるので、死体はよく確認しておこう。貴重な体力回復アイテムや、時には強力な武器を入手することが可能だ。
アクションだけではなくパズル敵要素も重視した内容
3Dの世界を冒険するゲームといって真っ先に思いつくのは「トゥーム・レイダー」だろう。あちらがノンストップ・アクションだとしたら、このキングスクエストは思考的要素が高いゲームだといえる。当然ながら、敵との格闘はリアルタイムで行われ、時にはジャンプしたり塀をよじ登るといったアクションもある。だが、ただ単に敵を倒しているだけでは物語は先に進まないように出来ているのだ。例えば、城へと通じる道が岩石によってふさがれており、水門を抜けていくしかない。この水門は水の勢いが強すぎるため、このままではくぐり抜けることが不可能なのだ。そこで町中を探索し、見つけてきたアイテムを使ってようやく先に進めるようになるといった感じだ。
キングスクエストの世界は、大きく分けて7つのマップによって構成されている。1度いっただけでは気が付かないような、細かいクエストも存在するので、冒険に息詰まったときは、くまなく探索してみるのがいいだろう。どうしても行けない場所には、何かしらキーになるアイテムや場所が存在する。とりあえず、記憶にとどめて置いて謎が解けたときに行くようにしたほうが効率がいい。
シリーズものながら初心者にも遊びやすいゲーム設計
シリーズものというと、どうしても初めて遊ぶ人敬遠してしまいがちである。そのシリーズが持っている世界観も、物語の流れもわからないからであろう。だが、このゲームは、単体の話であるためシリーズを知知っていようが知るまいがあまり関係ない。また、ゲーム序盤では基本的な操作に関するアドバイスが次々と表示されるため、初心者にも遊びやすく作られているのだ。アクションゲームはどうしても苦手という人のことも考慮して、モンスターの強さをゲーム開始時に選択することも可能だ。ゲーム中のプレーヤーの視点も、自分のキャラクターを斜め後ろから見下ろした3人称視点と、目線から見た1人称視点を好きなときに切り替えることができる。3Dゲームなどで酔いやすい人などは、3人称視点で遊ぶのがよいだろう。この3人称視点の時に、キャラクターの位置はそのままに視点をぐるりと360度回転させることも可能。周囲の状況を把握したいときなどには、とても便利な機能である。
この町で出会う人の話や、不思議な生き物に出会うだけでも、なにやら冒険心を煽られる。ひとつの謎が解けるたびに、別の謎が出てきて、ついつい時間を忘れてしまいがちだ。久しぶりに、じっくり腰を落ち着かせて楽しめるRPGだ。
コメントを残す